ILO=国際労働機関は、去年の世界の総就労時間が新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて8.8%減少したという推計を公表しました。2億5500万人が失業したことに相当するということです。
ILOは、世界の総就労時間が感染拡大前のおととし10月から12月に比べてどの程度減ったかを3か月ごとに推計していて、25日、去年1年間の平均では8.8%の減少だったと発表しました。
フルタイムで働く2億5500万人が失業したことに相当し、リーマンショックのあとの2009年に比べておよそ4倍にあたるということです。
若者は特に深刻 女性への影響がより大きい
仕事を失った人を年齢別に見ると、25歳以上が3.7%だったのに対し、15歳から24歳までの若者は8.7%と特に深刻だったということです。
また、男性の3.9%が仕事を失ったのに対し女性は5%で、女性への影響がより大きかったとしています。
業種別では最も大きな影響を受けたのは宿泊業や飲食業で、20%余りの雇用が失われたとしています。
国際労働機関 若者や女性の対策を拡充するよう呼びかけ
ことしの見通しについてILOは、各国でワクチン接種が始まる中、年後半にはほとんどの国で雇用が回復すると見込む一方、総就労時間は感染拡大前の3%の減少になると推計していて、各国に対して若者や女性の雇用対策を拡充するよう呼びかけています。
ILO事務局長「パンデミックによる失われた世代生むおそれも」
ILO=国際労働機関のライダー事務局長は25日、NHKのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大後、若者がほかの世代よりも高い割合で失業していることについて「若者は、いったん労働市場から外されてしまうと、感染拡大終息後にも及ぶ長期的な影響を受ける。パンデミックによる失われた世代を生んでしまうおそれもある」と述べ、各国が若者の雇用対策を強化する必要があるという考えを示しました。
また、女性については「小売業や飲食業、宿泊業など、新型ウイルスの影響を大きく受けた業界で働いている人が多く、仕事を失って厳しい環境に置かれている」と指摘しました。
そのうえで、ことしの見通しについて「最も楽観的なシナリオでも、総就労時間が感染拡大前の水準に戻る見通しはない。小売業や観光業など深刻な影響を受けた業界に焦点をあてた雇用対策を講じるべきだ」と述べました。
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