連日、過去最高の新規感染者数を記録している新型コロナウイルス。いつどこで誰が感染してもおかしくはない、そんな状況が続いています。そして乾燥し気温の低い冬の今、感染リスクは更に高まっています。
どうやってこの冬を乗り切るのか?万が一感染したとして、自宅療養となった場合、家族はどう看病したらいいのか?どうしたら家庭内感染を防げるのか?
そうした問いに答える新著『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』を、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍する白鷗大学教育学部教授の岡田晴恵氏が上梓しました。東京都医師会の順天堂大学教授・小林弘幸氏と鳥居内科クリニック院長・鳥居明氏も監修に加わった同書から、一部抜粋・再構成してお届けします。
一人暮らしのサラリーマンが感染したら?
感染者が増加してくると、すべての感染者を入院させることはできません。医師が入院による治療が必要と判断した人、または重症化するリスクの高い人のための病床確保が必要になります。
そのため、「軽症」と医師に診断され、かつ重症化リスク因子に該当しない人は、自宅療養の対象になります。自宅療養の場合は、1日に1回、体温や咳、鼻汁、倦怠感、息苦しさなどの健康状態について、保健所(又は保健所から依頼された方)へ報告して指示を仰ぐことになっています。
◆CASE1 一人暮らしのサラリーマンが感染した場合
・29 歳男性
・新型コロナウイルス感染症「陽性」
・ひとり暮らし、かつ軽症のため自宅療養対象者
・熱は38℃程度が出ている。発症して2日目
ひとり暮らしのサラリーマンが自宅療養をする場合について考えてみます。恐らく高熱や強い倦怠感のせいで、あまり動けなくなります。飲料水やゼリー状の栄養補助食品のようなものをできる限り枕もとに置いて、自分で取れるようにしましょう。
寝室の窓は少し開けておき、換気します。そして、もしあれば加湿器で湿度調整しましょう。
【ポイント】
① 空気が乾燥しないように加湿をします。加湿器がなければバスタオルを濡らして干しておきましょう。
② 高熱のときには、両脇の下など太い血管のところにタオルでくるんだ保冷剤などで冷やしましょう。首の後ろや足の付け根なども効果的です。
③ 窓は少し開けて、換気をしましょう。数分程度の換気を1時間に2回程度、完全に空気を入れ替えます。2方向に窓があれば両方開けます。
④ 自分自身で看病をしなければならないため、枕もとに必要なものはすべて置いておきます。飲料水や体温計、パルスオキシメーター、ゼリー飲料、チョコレート、タオルなどです。取りやすい位置に置きましょう。
CASE2 二世帯家族・お母さんが感染したら?
・陽性者は45 歳女性
・無症状感染者。職場内での感染
・同居家族は、祖父母(70 代)、長男(16 歳)、長女(10 歳)
・祖父母が高齢のため、看病者は長男が担当
・1階に祖父母が、2階に母親一家が居住
親が新型コロナウイルス感染症に感染した場合は、子どもが親を看病するほかありません。2世帯住宅で祖父母と暮らしていても、高齢者は重症化のリスクが高いため、看病を頼ることはできません。冷静に対処をしましょう。
2世帯家族、かつひとり親家庭の、母親が感染した場合について考えます。まず、先述の通り祖父母を感染者に近づけないようにします。1階と2階など居住スペースを完全に分けましょう。
また、もし他に兄弟姉妹がいたとしても、看病者はやはり1人に限定しましょう。不安かもしれませんが、同居している家族は感染者の症状が軽快してから14日間経過するまでは、自分の健康状態を注意するほうに集中しましょう。
もし自分だけで看病することが難しいと感じる場合は、居住地の自治体の担当者に相談をし、宿泊療養に切り替えるというのもひとつの手です。宿泊療養というのは、自治体の用意した宿泊施設やホテルなどで療養をするということです。高齢者との居住スペースを分けることが難しい場合なども、宿泊療養の対象者になります。
看病者は一人に限定
【ポイント】
① 看病する人だけではなく、陽性者もマスクを着用するようにしましょう。
② 看病者は1人に限定し、マスク、メガネ、手袋、ビニールのカッパを着用して看病します。
③ 無症状の場合でも、必ず居室を分けて感染者は極力そこから出ないようにしましょう。
④ 同居家族は感染している可能性があるため、できる限り外出は自粛してください。
⑤ 共有スペースには消毒用アルコールを置き、お互いのスペースを行き来する際には必ず除菌をしましょう。
⑥ 重症化リスクの高い人は、できる限り陽性者の居室には近づかないようにしましょう。
このほか、高齢者夫婦のみで暮らしている場合、小さな子どもが感染した場合、ペットと暮らしている場合など、様々なケースが考えられます。他のケーススタディは『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』に掲載してあります。
軽症と医師から診断された場合、入院対象者以外は宿泊療養もしくは自宅療養をすることになります。同居中の両親が高齢で住居スペースを分けることが難しい、もしくは医療従事者と同居している、などそれぞれの事情や状況があります。
「宿泊療養」というのは、その様々な事情を考慮したうえで、地域の軽症者の人数を踏まえて各都道府県が用意した宿泊先に移動し、そこで療養することを指します。宿泊療養の場合、基本的には個室で過ごし、外出や家族・知人との面会はできません。
食事や飲み物は提供されますが、衣服やタオルなどは用意されないので持参する必要があります。なお、食費や滞在費は無料です。施設に配置されている看護師等が定期的に健康状態を確認し、もし症状が悪化した場合には病院への入院も相談ができます。
以下すべての基準を満たし、宿泊療養施設での療養に同意された方が対象です。
【対象者チェック】
☑PCR 検査もしくは抗原検査で、新型コロナウイルスに感染していることが判明した方
☑無症状感染者もしくは軽症であり、入院治療が現段階では不要と医師が判断した方
☑周囲に感染を広げないための留意点を遵守できる方
☑満65 歳以上に該当しない方
☑糖尿病、心疾患などの基礎疾患のない方
☑妊娠していない方
☑免疫抑制剤や抗がん剤を服用していない方
☑アレルギー対応が不要の方
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